みなさんこんにちは、海谷です。

2/18(日)は、F1F2の入れ替え戦を現地で観戦していました。

僕は北海道育ちなので思うところが多々ありましたが、たくさんのサポーターがいる中で本気でプレーしたいという憧れがさらに強くなったことが大きいです。

 

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さて、おそらく今回が僕のラストブログとなります。

今回含め7回も卒論計画という名前でブログをやってきましたが、ついに1/31(水)に卒論の完成稿を教授に提出することができました!!!!

 

 

おめでとうございます!!!!!(?)

 

 

 

もうそれはそれはギリギリの戦いだったのですが、どれくらいギリギリだったのかというと…

僕のゼミでは40000字以上という文字数の指定があるのですが、なんと1週間前の1/23(火)の時点で5000字も書いていませんでした。

このときは「おれってこのまま書かないんじゃないかなあ」と思っていました。

(この他人事目線がもう絶望的)

 

しかし、僕の妻というか家内というか細君というか奥さんというか彼女が、それはそれは根気よく僕のことを後押しし書かせてくれました。

ちなみに彼女は早稲田の卒業要件約120単位を3年間で全て取り切ったという奇跡の人です。(僕を見ていただければわかりますが、大学で120単位を取得するのには通常まるまる5年間かかります。)さらに卒論は4年の中ごろには終わらせていて、危うく学会で発表させられそうになっていたという非常に優秀な学生でした。

 

そんなこんなでひとまず卒論を書き終え今に至るわけですが、今回は謝辞ということで、さんざ語ってきた贈与論の学習の中で見つけたおもしろそうな論文の紹介と、リガーレへのお礼などをしてみようかと思います。

 

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https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/19893/keizaikenkyu05404289.pdf

この論文は、工場で働いている労働者の労働意欲を左右するものを調べようというもので、その調査の際に特に”贈与”と”交換”の原理に着目している。

この論文の中では、

「交換の基本形には、市場交換(経済的交換)と贈与交換(社会的交換)がある。前者は匿名である契約当事者間の売買であり、交換される財・サーヴィスの価値は市場が決定する。これに対して後者では、交換に際して当事者間の社会的関係が表面化する。贈与交換では返礼の義務が明確に特定化されておらず、またその規模も含めて返礼は返礼主体の裁量に委ねられている。したがって贈与交換は短期的には均衡する必要はなく、長期的に均衡することが期待される。」

というように区別されている。いままで僕がこのブログで書いてきた”交換”にあたるものが「市場交換(経済的交換)」で、”贈与”にあたるのが「贈与交換(社会的交換)」と思ってくれればわかりやすいです。

雇用関係というのは、ものすごく端的に言えば、労働力の提供と賃金の支払いという等価交換であると考えられる。

しかしこの筆者は、この工場組織内における長期的な雇用関係をこのような単なる等価交換と捉えるのには無理があるとしたうえで、”贈与交換”による意欲の上昇を主張した。

贈与は、等価交換とは異なり、即時その場でモノや労力の交換は成立しない。上で書いた通り、返礼をするという義務感のもと返礼が行われ、その返礼の内容や規模は返礼を行う人に委ねられているし、そうやって贈与の往来をしていくうちに均衡していく。

 

言い換えると雇用関係を市場交換(等価交換)とみなす場合は、労働者の労働強度・労働力が賃金を決定する(どれだけ働けるか、利益をもたらせるかという労働力が、労働市場における労働者の価値となり、賃金はその価値の表れ)が、雇用関係を贈与交換とみなす場合、組織からの賃金やサポートが労働強度・労働力を規定しうる。つまり自分の労働力に見合う以上の賃金もしくは組織からのサポートを、雇用主からの贈与と捉え、その返礼としてより意欲的に働くようになるという仮説。

 

結論、贈与交換が労働意欲を高める主たる要因であるとわかった。贈与交換は、上で触れた通り、組織からの賃金や支援を、労働者が組織からの贈与と知覚し、返礼として組織にコミットメントし労働意欲が上昇するというもの。
この研究では、調査方法として労働者への聞き取り調査を採用しているが、贈与交換仮説を支持する質問項目として「経営者は労働者のことを気にかけてくれる」「経営者は信頼できる」「この工場ではなにかあったときには援助がある」といった組織からの支援と、「工場に愛着がある」「工場に忠誠心を感じる」「この工場で働いていることを誇りに感じる」「この工場で働いていることが自慢である」といった労働者の組織に対するコミットメントの項目が設定されていた。

つまりは、経営者に対する信頼や工場組織そのものへの愛着などが大きく、それに対する返礼として、より意欲的に働くという調査結果になったというわけです。

もう1点興味深いのは、労働意欲の上昇と視点が変わり、怠業(熱意喪失・集中不可・仕事忌避等)阻止の効果として一番効力を持ったのは経済的報酬であったということ。お金払ってる(受け取ってる)以上、サボるのは許されんという

 

※説明も結論もだいぶ端折っているので、ちゃんと読みたい人はURLから飛んでください。

 

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これを見て、お…?と思った方もいるのではないでしょうか。

僕は2023シーズンから入った新入りですが、それでもたくさんの人と話したり盗み聞きをしたりしてきました。その中で、リガーレの運営陣と選手の意思疎通であったり、選手たちが行う区や神社、パートナー(スポンサー)の活動へのコミットなど、課題を感じている声を聞きました。

僕がここで言いたいのは、こうするのが正解だ!なんてことではありません。てかそんな簡単に答えが出るならたぶん誰かがもうやってます。

そうではなく、もし今後リガーレの中で信頼関係やお金の問題、選手のプレー以外の活動に対する認識のずれなどの課題に直面した時、この贈与と交換の考え方が少なからず役に立つんじゃないかなということです。僕は贈与論を勉強した身なので贈与がなんとなくお気に入りですが、もちろん贈与だけでは成り立たないものだってたくさんあります。

 

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僕は最初に、セレクションで僕を拾ってくれたという特大贈与をリガーレから受け取ってしまいました。ゴールキーパーというポジションそのものが初めてでどうしようもない僕が、こんなに恵まれた環境で1年間を過ごせたのは、本当に感謝しかありません。

 

僕はこの受け取った特大贈与に対して、どうにか返礼をしなければならないわけですが、もちろんプレーで返すことがまず1つだと思っています。おそらく僕に合格をくれたのは、「ゴレイロやったことなくてこのパフォーマンスなら、化けるかほんっとにこのまま使えないかの二択だ…」というほぼ賭けみたいなものだったと勝手に予想してます。ですので、今後その賭けが成功したと言えるような選手になれるように努力を続けます。

 

ただ、プレーだけでそのお返しが成り立つかと言えば、僕はこのフットサルという競技の現状を考えたとき、不十分だと思っています。(これはリガーレの話ではなく、フットサルの全体の話です。)プレー以外にもなにか自分にできる行動はないかを探して実行したいです。

去年の11月あたりからよくレディースやOver40の試合を観に行ったり、Over40の練習に参加したりしているのは、実はその行動の1つだったりします。もちろん楽しくて行ってるんですけどね。

偉そうに語ってますが、自分になにができるのかは全然わかってないので、こういった小さなことから始めていってます。

 

 

この先リガーレを離れたとしても、フットサルを、ゴールキーパーをリガーレから始めたという誇り・感謝をずっと持ち続けます。僕がこの先フットサルでもしなにか活躍したり貢献したら、それはすべてリガーレのおかげです。ん、これあれはみたいですね、ローが言った「おれが死ぬまでにやる事全てが、コラさんの遺した功績だ‼」(突然のONE PIECE)

論文でもあった通り、贈与の往来は、返礼主体にその内容も規模も委ねられているので、少しずつフットサルのなにかでリガーレにお返しをして、受け取った特大贈与と均衡していってくれればなと思っています。

 

 

 

 

1年間、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで卒論を出したとはいえまだ卒業は決まっていません。

まだまだ決まっていません。

 

先述の通り単位を取るのには通常、5年”まるまる”かかる(4年で卒業できる猛者もいるようですが)ので、まだいくつかの単位は発表されていません。1つでも授業を落としたら即アウトチャレンジは継続です。みなさん僕の卒業を願っていてください。

 

ーーー以下、3/5(火)追記ーーー

無事(5年なのでそもそも無事ではない)、一橋大学社会学部の卒業が決まりました!

結果を心待ちにしていたみなさん、卒業できるか気にかけてくれていたみなさん、本当にありがとうございました。

 

ちなみに夏ごろ、たつき(サテライト#20)にこれまでの単位取得のことを話したら、「ほんま怖いわおまえ…なんか心臓に悪い…」と言われたので、5年間の取得単位数の詳細をここに書き残しておこうと思います。

1年目(1年生):21単位
2年目(2年生):30単位
3年目(2年生):5単位
4年目(3年生):24単位
5年目(4年生):44単位 ←リガーレでプレーした今季

計124単位

 

リガーレには大学生が多く在籍しているので、ぜひこの数字からなにかを学び取ってほしいと思います。

 

改めて、本当にお世話になりました。ありがとうございました!