リガーレヴィア葛飾にとってFリーグ一年目となる今季、未だ勝ちのないホームゲームが水元総合スポーツセンターで行われた。

大寒波の影響で冷え込む1日が続くが、この日はそんな寒さをも吹き飛ばすような試合となった。

この試合はリガーレヴィア葛飾にとって色々な意味を持つ試合。

1つは全日本選手権出場権のため。

6位につけるヴィンセドール白山が破れたため、この試合に勝つと全日本選手権出場圏内の順位に戻る事ができる。

2つ目は今季限りでの引退を表明した3選手(碓井、米谷、高橋)の最後のホームゲームに花を添えるため

3つ目は未だホームゲームで勝利の喜びを分かち合っていない大勢のサポーターと感動を共有すること

勝利に向けて選手も会場も気合がはいる。

1stピリオド

リガーレヴィアボールで前半がキックオフ。

リガーレヴィアのピヴォ当てからの攻撃を警戒し、低い位置から押し上げるようなディフェンスを行うデウソン神戸。

ボールを失う場面もあるが、先発した菊池(慧)を中心としたディフェンスでピンチを未然に防ぐ。

すると前半2分、最初の歓喜の瞬間が訪れる。

ゴール前でのこぼれ球を拾った米谷が浮き球で相手ゴレイロを華麗にかわすと、無人のゴールにシュートを流し込み、リガーレヴィアが大きな先制点を奪う。

今季での引退を発表した米谷の見事なゴールに会場も大いに盛り上がる。

リガーレヴィアはこのままの勢いで押し込みたい。

しかし、その後はデウソン神戸の統制されたディフェンスを前に上手くボールを繋ぐことができない。

一度ボールを失うと神戸の鋭いカウンターがリガーレヴィアゴールに襲い掛かる。

神戸はカウンターに加えて、高い個人技を活かしたドリブル突破からチャンスを狙う。

1対1で後手に回ったリガーレヴィアはシュートを打たれるシーンも増える。

しかし、このピンチにもゴレイロ石崎の落ち着いたセーブ、フィクソ鈴木の身体をはったスライディングなどで得点を許さない。

追加点を奪いたいリガーレヴィアは、シンプルなプレス回避と個人技でゴールを狙う。

左サイドでボールをもった江本が鋭いドリブル突破からシュートを放つ。これは相手ゴレイロにセーブされてしまうも、積極的なプレーを見せる。

ピヴォの熊谷が華麗な反転からシュートまで辿り着くも、このシュートは枠の外。

木村(崚)は前線でのボールキープに加えて、素早い戻りと献身的なディフェンスでチームに貢献。闘う姿勢を見せる。

すると前半残り4分、スーパーゴールが生まれる。

碓井からのパスを受けた米谷がドリブルで相手を交わしそのままトーキックでミドルシュート。

強烈なシュートがゴールネットに突き刺さり、リガーレヴィア待望の追加点を奪う。

米谷のスーパーゴールに会場のボルテージも最高潮に。

2点のリードを奪ったリガーレヴィア。試合を有利に進める。

神戸も変わらずカウンターから隙を狙う。

前半終了間際、自陣でボールを失うと数的不利のピンチ。

ここは今日キャプテンマークを巻くゴレイロ石崎が渾身のスーパーセーブでチームを救う。

終了間際のビッグプレーにベンチも盛り上がる。

試合を有利に進めつつ、要所要所で身体を張ったプレーを見せ、前半を2-0のリードで終える。

2ndピリオド

後半も主導権を握るリガーレヴィア。前半同様に引いて守る相手に対して落ち着いたパス回しからゴールを狙う。

カウンターから抜け出した菊地(耕)がシュートを放つがここは相手ゴレイロにはじかれる。

後半5分、コーナーキックのチャンスを獲得すると、米谷のボールに中で合わせたのは江本。

ベテラン米谷、18歳江本の現エース、未来のエースのホットラインから得点を奪う。

直後、前線からのプレスにきた神戸のディフェンスに対して、碓井、米谷を中心に回避すると、そのまま米谷がカットインしてシュート。

これがゴールに突き刺さり、米谷のこの試合3点目となるシュートでさらに突き放す。

4-0とリードするリガーレヴィアに対して、神戸は早い時間からパワープレーを選択。得点差を埋めるべくリスクを冒して攻める。

リガーレヴィアは長い時間のパワープレーにも守備を交代しながら冷静に対応。シュートチャンスを与えない。

神戸の強引な突破に対してもフィクソの高橋が気迫のディフェンスを見せ突破を許さない。


今季での引退を発表した高橋の「リガーレらしさ」を体現するディフェンスに観客席が沸く。ピンチの場面でこそ観客を沸かせることができる選手で高橋の右に出るものはいない。

集中したパワープレーのディフェンスから、カウンターのチャンス。藤川からのロングスローを菊地(耕)が相手との競り合いを制し、ヘディングでゴールを決める。

5-0とさらにリードを広げるリガーレヴィア。

その後、一瞬の隙を突かれて1点を返されてしまうが、失点後も雰囲気は落ちない。

チーム全体、会場全体が一体となって闘う姿勢を見せる。

リガーレヴィアはオフェンスの際にはセットを交代し、米谷、熊谷、碓井、大徳の4人でボールを回し、時計の針を進める。

すると後半残り3分、米谷のゴールに続き、待ちわびた歓喜の瞬間が訪れる。

大徳→碓井→熊谷とパスを繋ぐと、ボールをキープした熊谷が体勢を崩しながらも碓井にパス。

抜け出した碓井が相手ゴレイロとの1対1を見事に制し、自身最後のホームゲームを彩る得点を奪う。

このゴールにコート内、ベンチ、会場が沸き上がる。

試合終了間際にはパワープレーのディフェンスからボールを奪った尻屋のロングシュートがポストにあたったこぼれ球を菊地(耕)が詰めておりダメ押しの7点目。

その後も集中したディフェンスで守りきり、7-1で試合終了。

今季ホーム最終戦を快勝で終えたリガーレヴィア。

大勢の観客と、今季限りで引退する3名と、歓喜の瞬間を共有した歴史的な試合となった。

次節で最終節となる今季のFリーグディビジョン2は、アウェイで広島エフドゥとの試合へ臨む。

全日本選手権の出場権を自力で獲得するためにも勝利をつかみたい試合。

最後までリガーレらしく闘う事を誓う。


レポート:No.1 藤川 優祐
Photo by Akie Umeda